GUILDA: Grid & Utility Infrastructure Linkage Dynamics Analyzer

GUIDAは、本研究室と群馬大の川口助教を中心に開発を進めているスマートエネルギーマネジメントの数値シミュレータです。システム制御分野の学生や研究者に対して、最小限の電力システムの知識だけで利用可能な先端的な数値シミュレーション環境を提供することを目的としています。関連知識をシステム制御分野のことばで解説した教科書(2022年にコロナ社から刊行予定)とも密に連携させることで、数学的な基礎と数値シミュレーション環境の構築を並行して学習できるように工夫しています

このような活動を通して、電力システムを身近なベンチマークモデルの1つとしてシステム制御分野に定着させることにより、本分野の技術や知見が電力システム改革を推進する一助となることを目指しています。

公開ソースコード(随時更新中)

GitHubでMATLABのソースコードを公開しています。 群馬大の川口助教が主管理者として運用しています。[Link]

初学者向けチュートリアル(随時更新中)

本研究室の学生が中心となって初学者向けチュートリアル作成しています。 [Link]

開発の経緯

異分野専門家との融合研究の難しさを実感

石崎と川口助教は、システム制御分野の研究者として分散協調型エネルギー管理に関するチーム型プロジェクト(2012年4月2020年3月)に参加して、再エネの主力電源化に向けた研究開発を行いました。

プロジェクト開始当初は、私たち電力システムについて全くの素人でした。研究を進めるために関連分野の基礎を学び始めましたが、微分方程式や最適化などこれまでに慣れ親しんだはずの事柄であっても、電力システム分野の文脈では大半を理解することができませんでした。

原因は、電力システム工学が電力システムの現実を重視する実学的な学問分野である一方で、システム制御工学は数学を源流とする数理学的な学問分野であるため、根本の問題意識が大きく異なる点にありました。

状況を打開するために電力システム工学などの基礎を一から学んでいき、プロジェクトを通じて多くの専門家と議論を重ねていきました。異分野の専門家のことばを理解して共感を得始めるまでには、何年もの時間が必要でした

分野の壁を越えた研究のきっかけを作るために

システム制御分野は、制御理論、情報理論、データ科学、システム科学、数理最適化などの幅広い領域を横断しながら発展している学問分野です。したがって、多様な学識の融合が求められる電力システムの研究開発に対して、本分野の技術や知見が広く貢献することが期待されます

一方で、電力システムの研究開発を始めるためには分野特有の知識や技術に習熟する必要があるため、分野外の学生や研究者には高い参入障壁が存在することは大きな問題です

この問題を克服するためには、システム制御分野の研究者が最小限の専門知識だけで電力システムの研究開発に参入できための橋渡し必要であると強く感じました。この思い契機となり、GUILDAの開発と公開や基礎知識を解説した教科書の執筆などの活動を開始しました。

今後も初学者向けチュートリアルの充実やベンチマーク問題集の作成など、コンテンツの拡充に研究室全体で力を注いでいく予定です。