わたし・あなた・みんなの共創でエネルギー・情報通信の難題に挑戦
あなたの未来もエネルギー・情報なしにはあり得ない
日本では、2050年までにカーボンニュートラルを実現することが宣言され、既存のエネルギー供給の強靭化と同時に再生可能エネルギー活用の最大化が強く求められています。
この高い目標の達成には、エネルギー関連技術はもとより、情報通信などのデジタル技術も駆使して系統運用を高度化するスマートグリッドを構築していくことや、天候により電力供給が不確かに変動する再エネを信頼できるエネルギー源に変えていく制御技術が不可欠です。
電力は使えて当たり前で実感のない人も多いかもしれませんが、例えばAppleは「2030年までに再エネ100%による部品製造に転換する」と公式に発表しました。このようなESGに関連する世界の動向は、クリーンなエネルギー供給に向けた積極的な取り組みなしには部品の製造すら認められない厳しい未来が迫っていることを示唆しています。決してエネルギー業界だけに限った話ではありません。トヨタのWoven Cityなどで話題のスマートシティ構想からもエネルギー問題は切り離せません。
(参考情報)
『「カーボンニュートラル」って何ですか? ~いつ、誰が実現するの?』[⎋ 経産省]
『Apple、サプライヤー110社以上の再エネへの課題解決に協力』[⎋ Apple]
『ENEOSとトヨタ、Woven Cityにおける水素エネルギー利活用の具体的な検討を開始』[⎋ TOYOTA]
わたしたちにもできること
本研究室は大学の一研究室に過ぎません。何万人もの従業員を抱える大企業やエネルギーの現場を支えるインフラ企業のように、市民の暮らしを今すぐに一変するような大事業を独力で目指すことは現実的ではありません。
一方で、大学ならではの利点も多くあります。例えば、金銭的な利益にとらわれず自由な学術研究が行えることはその一つです。学術的な観点から議論をまとめて、企業や行政の橋渡し役となることもできます。
わたしたちが中核とするシステム制御理論は、人やモノを有機的につないでシステム全体として良いスパイラルを生み出すための数学的な方法論です。こうした抽象的なシステム思考にも虚心坦懐に取り組むことで、次世代のエネルギー・情報通信インフラのあるべき姿を柔軟な視点で探求できることは独自の強みになります。わたしたちにもできること、それは、大学ならではの研究開発に真剣に取り組みながら企業や行政などを通じて未来社会への還元を一歩ずつでも目指すことだと考えています。そのためには関係する多種多様な人々との共創が欠かせません。
みんなで一丸となって挑戦しよう
本研究室では、上記の目標に向けて様々な取り組みを行なっています。
新しい制御理論の研究を軸にする一方で、システム制御分野の学生や研究者がエネルギー関連の研究開発を無理なく始められるように支援するデジタルシミュレーションプラットフォームの構築にも力を入れています。本プラットフォームには、新たな仲間を呼び込み共創を促すことを意図して「GUILDA」と名付けました。GUILDAは配属学生のトレーニングにも利用しています。電力システム制御の基礎は、関連知識をまとめた教科書からも学べるようにしています。[more]
学生室は気軽に雑談や相談ができるオープンな空間にしています。ひとりで閉じこもらずみんなで一緒に考えられるように、学生には連動する研究テーマを設定することを意識しています。[more]
学内では、エネルギー・情報卓越教育院の卓越大学院プログラムに参加しています。次世代エネルギー社会の実現に向けた国家プロジェクトにも参画しています。東工大では、指定国立大学法人構想における重点分野のひとつとして「統合エネルギー科学」が設定されているように、全学的にエネルギー関連研究に注力しています。学外の機関ともBeyond 5Gに関わる情報通信の国家プロジェクトなど様々な研究活動を行っています。こういったプログラムやプロジェクトでは、大学の他にも行政や関連企業、研究所などに所属する多様な方々と意見交換をしながら社会実装を目指して連携強化に努めています。
(参考情報)
『ビックデータサイエンスと社会構想力により未来のエネルギー社会をデザイン』[⎋ エネルギー・情報卓越教育院]
『世界最高の理工系総合大学を目指す』[⎋ 東工大ニュース]